-- NCWデュエットオカリナ --

NCWデュエットオカリナ、概説

この章ではNCWデュエットオカリナの扱い方について説明します。

» NCWデュエットオカリナ(アルト)を吹いてみました。

写真はノース・カントリー・ワークショップ(N・C・W)工房が製作している木製のデュエットオカリナです。大小の4穴オカリナを一つに合わせた作りになっています。

NCW工房は二人の職人だけで切り盛りしている北米の小さな工房です。製作しているデュエットオカリナは、手頃な大きさで扱いやすいアルト管と、小さなオルガンのような音色が魅力のテノール管の二種類。

ナンシー・ランベルというオーボエ奏者がここのオカリナをとても気に入っていて、彼女のデュエットオカリナ演奏をCDやYouTube動画で聴くことができます。

日本では2009年から市場に出回っていましたが、2010年始から急に人気沸騰して、今ではいつ入手できるかわからない状況です。

仕様(アルト管)

  • 指穴の数: 左4穴、右4穴
  • 音域: 左1オクターブ、右1オクターブ
  • キー: 左D管、右G管(左の方が低音です)
  • サイズ: 13cm×8cm×3cm
  • 重量: 136g
  • 材質: 木(種類、木目調は工房まかせです)
  • 付属品: 布ケース、簡単なパンフレット(英語)

仕様(テノール管)

  • 指穴の数: 左4穴、右4穴
  • 音域: 左1オクターブ、右1オクターブ
  • キー: 左G管、右C管(左の方が低音です)
  • サイズ: 16cm×10.5cm×4cm
  • 重量: テノール260g
  • 材質: 木(種類、木目調は工房まかせです)
  • 付属品: 布ケース、簡単なパンフレット(英語)

所感

一言でいって演奏しやすいです。吹口は薄く絞ってあって、唇で易しくくわえることができます。指穴は大きめで、しっかり押さえることができます。

比較的に速い運指を要求される高音のメロディー管を右手側に配置して、ゆっくり演奏してよい低音の伴奏管を左手側に配置しています。これは右利きにとってあがりがたいです。

左右のオカリナの音程差が4度(ソとドの関係)になっています。実際に演奏してみればわかりますが、これが近すぎず遠すぎず絶妙です。

左右を合わせた全体の音域がソラシドレミファソラシドです。ふつうのオカリナよりも音域は狭いのですが、ドより低いソの音まで出せるので、演奏できる曲は意外に多いです。

音色はふつうのオカリナよりもむしろ小学校のリコーダーに近いです。ツーツーした音です。しかしながらリコーダーのように輪郭のかっちりした音色だからこそ、和音で吹いたときの効果がはっきり聞こえる気がします…どうでしょう。私自身はCHデュエットオカリナよりも、こちらのNCWデュエットオカリナの音色の方が好みです。

演奏しながらピッチの調整が必要です。そもそも4つの指穴でドレミファソラシドの8つの音を表現するのですから、物理的に無理があります。ドレミファソラシドはどうしても近似値になってしまいます。単音で演奏しているときに、ピッチのずれが気になる場合がある。演奏しながら耳で聞いてピッチを調整する必要があります。和音で一人合奏している場合はあまり気になりません。

NCWデュエットオカリナ、鳴らし方

持ち方や唇の当て方など、鳴らし方について説明します。
※ ここの話はNCWデュエットオカリナ向けの内容です。

姿勢について

何事も姿勢は正しく、です。
特に笛やラッパなど吹いて鳴らす楽器は、背中がまるくなっていると肺や腹筋を押さえつけてしまうので息をたくさん吸いこめなくなります。それから息が不安定になって音がふらふらする気がします。立っても座ってもいいですから、内蔵を圧迫しないように、背筋をまっすぐ伸ばしてください。

持ち方

NCWデュエットオカリナを手にとってみれば、持ち方なんて一つしか思いつかない★のですが…

  1. NCWデュエットオカリナの吹口に唇を当てます。
  2. 指穴が6つ開いている側が表です。眼で見える側です。
  3. 右側の3つの指穴を右手の人差指、中指、薬指でふさぎます。
  4. 左側の3つの指穴を左手の人差指、中指、薬指でふさぎます。
  5. 裏側にも指穴が2つあるので、両手の親指でそれぞれふさぎます。

★ これを難しい言葉で「アフォーダンス」と言います。

唇の当て方

唇をかるくとじて、NCWデュエットオカリナの吹口にかるく当てます。
NCWデュエットオカリナはハーモニカのように左右にスライドさせながら演奏することがあります(片方の音だけ鳴らしたりします)。だからガップリくわえてしまうと具合がわるいです。噛みつくとNCWデュエットオカリナに歯形が付きます。

吹けばとりあえず鳴るけれど

上下の歯をすこしだけあけて空気の通る隙間をあけておきます。
歯並びの悪い人ならぴったり歯をとじていても空気は通るでしょうが、それだと音が汚くなったりするようです。上下の歯の間にすこしだけ空気の通り道をあけておきます。

NCWデュエットオカリナには吹口が2つありますが、最初のうちは一つだけ音を出すようにします。つまりふつうのオカリナとして練習するということです。ここでは右側半分だけ吹きます。

オカリナは吹けば鳴る笛ですから、とにかくぷーっと吹いてみてください。吹きながら指穴をあけたりふさいだりしてもいいですよ、どうでしょう。

「こんなの簡単っ」と喜んだ人もいるでしょうし、逆に「なんだか音がふらふらしてキマらない…」とすこしがっかりした人もいるかもしれません。

NCWデュエットオカリナは、オカリナのグレードでいえば中程度でしょうか。
最高グレードのオカリナであれば、誰がどのように吹いてもすばらしくきれいな音色で鳴ります。しかしこのグレードだと、きれいな音・気持ちよく聴ける音で演奏するためにはちょっとコツがいるというか、いくらか練習が必要です。

付け刃でとりあえずきれいっぽい音を出す方法について 『オカリナの基本』 の章で説明しています。そちらを参考にしてください。

NCWデュエットオカリナ、運指1

運指について説明します。
※ ここの話はNCWデュエットオカリナ向けの内容です。

運指表の見方

NCWデュエットオカリナの運指は以下のような図で表します。
これはオカリナを持って鏡の前に立ったときの、鏡に映ったオカリナを表しています。

  • 向かって右側が右手の指穴
  • 向かって左側が左手の指穴
  • オカリナの両端にあるのが裏側の親指の穴

黒丸は指穴をふさぎます、白丸は指穴をあけます。
それとNCWデュエットオカリナは同時に二つの音を出せますが、いつも二つの音を出すわけではありません。片側だけ吹く場合もあります。片側だけ吹く場合は、吹かない側の指穴を書きません。

次はこの運指表を使ってドレミファソラシドを説明します。

NCWデュエットオカリナ、運指2

ドレミファソラシドの運指です。
※ ここの話はNCWデュエットオカリナ向けの内容です。

ドレミファソラシドの運指

NCWデュエットオカリナのドレミファソラシドの運指です。
ドレミファソラシドは右手だけで演奏します。左手側は使いません、右側の吹口だけ吹いてください。指穴はパッあけてパッとふさぐようにしてください、中途半端だと変な音がします。一つ一つの音をきちんと区切るとハキハキしたきれいな音になります。

» NCWデュエットオカリナのドレミファソラシド

4穴オカリナの運指は覚えにくい

どうでしょうか。ふつうのオカリナやリコーダーと比べて運指が覚えにくいと思ったかもしれません。4つしかない指穴の組みあわせで8つの音を出すのですから、それは仕方ないことです。(そのおかげで片手だけで1オクターブ演奏できるんですけど。)

これは…長く吹いていればそのうち必ず覚えます、信じてください。
たかだか8種類のパターンでしょう、九九を覚えるよりずっと簡単なはずですよ。

しいて言えば、よく使う音から覚えるといいです。

  1. まずドとソの音を覚える
  2. 次にラの音を覚える。「ラの音は”ソより高い音”」と覚える
  3. それからミとレの音を覚える。「ミとレの音は”ソより低い音”」と覚える
  4. 最後に「”残り”がファとシの音」と覚える

ぜんぶの指穴をあけるときは

NCWデュエットオカリナの使い方からして、両手ぜんぶの指穴をあけるというケースはすくないのですが。ぜんぶの指穴をあけるときは、両手の小指でオカリナを支えます。いつでも小指で支えられるように、小指をあらかじめオカリナのお尻にそえておくのがよいでしょう。

あるいは親指の指穴をあけるとき、オカリナから指を離すように指穴を開けるのではなく、指を横にスライドするようにして指穴をあけます。そうすると指穴はあいていますが、親指はずっとオカリナを支えたままです。

NCWデュエットオカリナ、運指3

左右両手の運指を覚えると音域がすこし広く使えます。
※ ここの話はNCWデュエットオカリナ向けの内容です。

左手側の運指

左手側の運指です。動きは右手側とほぼ同じです。

» NCWデュエットオカリナの左手側の音階

ソラシドレミファソラシド

左右のオカリナを切りかえながら吹くとソラシドレミファソラシドと、1オクターブよりもすこしだけ広い音域が使えるようになります。これがNCWデュエットオカリナの基本の音階です。

» NCWデュエットオカリナの基本の音階

左右のオカリナの切りかえはキビキビぱっぱと行ってください。

NCWデュエットオカリナ、運指4

よく使う別の音階があります。
※ ここの話はNCWデュエットオカリナ向けの内容です。

レミファソラシドレミファソ

NCWデュエットオカリナの基本の音階はソラシドレミファソラシドですが、もう一つ音階が使えます。

» NCWデュエットオカリナのもう一つの音階

★のついたファの音は左手中指のほんの少しひねって、指穴をほんのすこしだけあけて出します。コツもなにもありません。ひたすら鍛錬して「このくらいっ」という加減を指に覚えこませます。でもあんまり使いませんよ。ファとシはドレミファソラシドの中でも出番の少ない音です。

この音階は短調―暗い寂しい感じの曲―を演奏するときによく使われます。
基本のソラシドレミファソラシドは長調―明るい陽気な感じの曲―を演奏するときによく使われます。

NCWデュエットオカリナで曲を吹くときは、これら2つの音階のうちどちらかに当てはめて演奏することになります。曲の音域が広すぎてオカリナの音階に収まらないときは…その曲は吹けません。もう少し音数が多いとうれしいのですけれど…

NCWデュエットオカリナ向けの説明はこれで終わり

これでNCWデュエットオカリナ向けの説明は終わりです。
あと、基本的な演奏方法から一人合奏する方法まで一とおり目をとおして、NCWデュエットオカリナ演奏を楽しんでいただければ幸いです。
ってとこかな。